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Fun! Fun! Fun!

本やインタネット上では大変多くの方々が、英語が出来るようになるまでの自分の経験を語っており、それが多くの読者を惹きつけているようです。かく言う私も、こと英語学習に関しては、是非多くの方々と共有したいという経験を持っています。

私は、海外生活の経験が全くないにもかかわらず、高校卒業後いきなり渡米しました。まだ海外留学が珍しかった頃の話です。

当時の私は、全くと言っていいほど英語が出来ませんでした。その出来なさを語りだしたら切りがないのですが、特に問題だったのがスピーキング。話せないがゆえに起きた珍事件は、その愉快さとは裏腹に、涙なしには聞けないほどです。

そんな私がそれから約一〇年後、米国の大学の教壇に立っていました。その10年の間になにが起こったのか?それを今から皆さんにお話したいと思います。

渡米してから半年ほど、留学生向けの集中英語コース(ESL)に在籍した後、私は学部の授業を受け始めました。私の英語力が急激に伸び始めたのはまさに、ネイティブ・スピーカーと席を並べ、様々な正規の授業を受講し始めてからのことです。つまり、英語を勉強するのではなく、英語を使って自分が興味のあることを学ぶことによってでした。

テキストを読み、授業を聞き、そこから出題される試験に向けて準備をし、一学期に10-20枚程度の「ペーパー(小論文)」を何本か書く。当時は、授業を聞きながら同時にノートを取ることが出来なかったため、全ての授業をテープに録音し、それらを夜通し何度もくり返し聞いてノートにお越したりもしていました。

これを一年近く繰り返した後、何の気なしに全く準備もせずTOEFLを受けてみると、大学入学前の点を大幅に上回る高得点を取ることが出来ました。特に驚いたのがリーディングのスピードの変化。入学前はどんなに頑張っても時間内に全て解答することが困難であった同セクションを、所定の半分の時間で解けるようになっていました。しかも正確に。

一方ESLは、当時全米で最も高い評価を得ていたコースの一つに在籍していたにも関わらず、そのおかげで大学入学後のように英語が伸びたという実感を得ることはありませんでした。その授業内容は、日本の文部科学省の新学習指導要領が謳っているように、①読む、②書く、③聞く、④話す、⑤ディスカッション[やりとり・発表]という五つの要素で構成されていました。大学の授業も、それら全てを網羅するものであり、だからこそ私の英語力は急激に伸びたのですが、なぜ似たような構成のESLではそうはならなかったのか?

答えは明白でした。ESLは、その授業内容も、仕様されるテキストも、至極退屈なもので、とても興味を持てるものではなかった。それに尽きます。それに対し大学の授業は、自分が心底学びたいと思う科目を自主的に選択しているのですから、幾らでも頑張ることが出来たのです。

英語の神様

ここまでは、大学で学ぶ専門分野を例にとって話をすすめて参りましたが、それは自分が心底知りたいと思うことなら何でもよいのです。私の場合それは、マイケル・ジョーダンでした。渡米してすぐ、若かりし頃のこの「バスケの神様」の信者となった私にとって、勉強の合間に図書館で彼の記事を貪り読むのが唯一の楽しみでした。

とにかくジョーダンのことに関するありとあらゆることを知りたかった私は、英語の勉強のために英文を読んでいた時と異なり、全てを理解しようとなどせず、自分が知りたいと思う箇所のみに集中し、必要が生じた時だけ辞書や文法書を開きました。なにせ、勉強の合間に図書館に置いてある全米中の新聞のスポーツ欄全てに目を通さなければならないわけですから、モタモタしているわけにはいきません。

試合のテレビ放送は勿論のこと、テレビ、ラジオのスポーツニュースも欠かしたことはありませんでした。毎日新聞や雑誌を読んでいると、実況やニュースを聞いていても、「あっ、今言ったことについてこないだ読んだな」ということが徐々に増えてきて、それと同時にヒアリングの能力も急激に伸びました。

そしてバスケのことについて、とにかくよく話しました。それこそが、リスニング、スピーキング、ディスカッションの能力の向上とともに、数多くの生涯の友を得ることが出来た最大の理由です。

バスケのこと、ジョーダンのことに関して話したいことが無限にあるわけですから、文法や発音など一々気にしてはいられません。とにかく自分が言いたいことが相手に伝わるよう必死で話していました。それに相手も同じぐらいバスケが好きですから、拙い英語でも必死に聞いてくれました。特に私の場合、ネイティブの間でも有名なバスケ狂として名をはせていましたから、時間を忘れて喜んで相手をしてくれました。まさに「芸は身を助ける」だったわけです。

もしかしたらこの「ジョーダン・メソッド」は、大学の授業よりも効果があったかもしれません。つまり私の英語力の向上に最も効果があったかもしれないのです。読む、書く、話す、聞く、議論する、どれをとっても全く苦にすることなく膨大な時間を費やしていましたし、なにせそれに向けられた情熱が違います。「バスケの神様」は、私にとって「英語の神様」でもありました。

まずはあなたにとっての「マイケル・ジョーダン」を見つけましょう。これが私が経験から得た英語上達のための最大の秘訣です。

やはりライティングとリーディングが基本

北米の大学では、学期の中間と期末に、学術論文並みに正式なスタイルに乗っ取った10-20枚程度の「ペーパー(小論文)」を提出しなければなりません。それもただ書けばよいというわけではなく、短めのペーパーでも査読済み論文を最低3本、長めのものなら5-7本参考文献として使わなければなりません。それらを自らの論考にどれだけ効果的に組み込んだかが評価の大きな分かれ目となります。

そうなるとまず、参考文献を何度も読み返さなければなりません。この過程でライティングやスピーキングで実際に使える単語、文法、構文を習得することが出来ました。これ以外に役に立ったと思える方法が他に思いつかないほど。

そうして書いた文章は、提出前に必ず、英語のよく出来るネイティブの友人に添削してもらいました。これも私の英語力が急激に向上した最大の理由の一つですが、ここで注意しなければならないのは、ここで言う「英語のよく出来るネイティブ」というのは、今では皆、本なり論文なりを出版している、ネイティブの中でも特に書くことが得意な人文系の博士課程の学生(当時)のことです。逆に言えば、そのぐらい出来ないと、内容のあることを書いたり話したりするための基礎を作るような添削が出来ないということを、自分がネイティブの学生の論文指導にあたるようになってから学びました。経験上、ある程度名の通った大学を卒業したネイティブであっても、そうした能力を持つのはせいぜいクラスの上位2-3パーセントであり、そうした人間が日本人に英語を教えることは非常に稀です。

ともかく、こうした読む・書くの総仕上げが、自分の書いたものをベースにしたプレゼンテーションや、教授・他の学生とのディスカッションです。それを通して、読んだり書いたりする過程で学んだことが、話したり聞いたりする能力に転化していき、内容のあることを話したり、議論したりすることが出来るようになってきたのです。